引っ越しの荷物を運び終えた日の夜、僕の部屋にはベッドがありませんでした。
家具を揃えるのは後回しにしていたので、とりあえず寝る場所だけ確保しないといけない。そこで使ったのが、キャンプ用のインフレーターマットです。もともと持っていた薄いものでは足りず、引っ越しに合わせて厚いものを買い足しました。
結論から言うと、2ヶ月ほどこれで寝ました。寝られたか寝られなかったかで言えば、寝られました。ただ、買う前に知っておきたかったことがいくつもあります。
この記事では、実際に自宅の寝床として2ヶ月使ってみて分かったことを、良かった点も残念だった点も含めて正直に書きます。
引っ越し初日、部屋には寝袋とマットしかなかった

これが引っ越し当日の写真です。床にインフレーターマットを敷いて、その上に寝袋を広げただけ。マット自体は寝袋の下に隠れて見えていません。
寒い時期だったので、マットの上に寝袋という組み合わせは理にかなっていました。キャンプで散々やってきた形です。違うのは、場所が屋外ではなく自分の部屋だということだけ。
厚さ3cmでは足りなくて、8cmを買い足した
もともと持っていたのはBAKKNEL(バクネル)の厚さ3cmのインフレーターマットでした。2022年に買ったもので、車中泊にもキャンプにも自宅にも使ってきた一枚です。

ただ、これを毎晩の寝床にするとなると話が違います。3cmは床の硬さがそのまま伝わってくる厚みで、1泊のキャンプなら我慢できても、何週間も続けるには薄すぎました。
ちなみにこのBAKKNELは買った当初、開封したら全然膨らまないという初期不良に当たって返品交換しています。その顛末は別記事に書きました。
そこで引っ越しに合わせて買い足したのが、ライシンの厚さ8cm・幅70cmのワイドタイプです。撥水加工でスエード調の生地のもの。定価は7,980円ですが、ちょうどクーポンが出ていたので6,384円で買えました。
厚さが倍以上になるので、これなら床の硬さは気にならないだろうという判断です。
スエード生地の寝心地は、思っていたよりずっと良かった
実際に使ってみて、一番の驚きは生地の質感でした。
スエード調の表面は肌触りが良いです。キャンプ用品にありがちな、ビニールっぽくてペタペタする感触ではありません。
厚さ8cmもあると床の硬さは完全に消えます。正直なところ、意外とちゃんと寝られました。引っ越し直後の慌ただしい時期に、寝床のことで悩まずに済んだのは大きかったです。
幅は70cmで、一般的なシングル布団よりは狭い設計です。
「自動で膨らむ」を鵜呑みにしてはいけない
ここが一番伝えたい部分です。
インフレーターマットは、バルブを開けると中のウレタンが復元して自動で膨らむのが売りです。商品ページの説明を読むと、放っておけば勝手に使える状態になるように思えます。
これは半分正しくて、半分は違います。
確かにバルブを開ければある程度は膨らみます。ただ、寝心地を確保できるレベルまでパンパンにするには、結局は人力で空気を入れる必要があります。僕は息で膨らませていましたが、これがなかなかの重労働でした。
厚みがあるマットほど中の容積が大きいので、その分だけ吹き込む量も増えます。8cmのマットを口で膨らませるのは、正直しんどい作業です。
息で膨らませるのは一度きりでも大変だったので、毎日畳んで毎日膨らませるつもりなら、ポンプを用意しておいたほうがいいと思います。
2ヶ月寝て分かった限界。腰は痛くなる
寝られたとは言え、良いことばかりではありませんでした。
腰は痛くなります。これははっきり書いておきます。
使い始めた頃は気になりませんでした。ただ、それが1ヶ月、2ヶ月と続くと話が変わってきます。朝起きたときの腰の感じが、ベッドで寝ていたときとは明らかに違いました。
インフレーターマットはあくまでキャンプという非日常のための道具であって、毎晩の睡眠を支えるために設計されたものではありません。体を面で支えるマットレスとは、そもそも作りが違います。
なので「引っ越しの寝床をインフレーターマットで代用できるか」への僕の答えは、できる。ただし期間限定で、ということになります。
猫がいる家で使うなら、爪を切っておくこと
これは猫を飼っている人にだけ関係する話です。
インフレーターマットは、中に空気とウレタンが入っている構造上、生地に穴が開いたら終わりです。そして猫は、柔らかくて弾力のあるものを見つけると乗ります。乗って、伸びをします。
うちの場合は猫の爪を切っていたので傷は付きませんでした。結果的には無事だったというだけの話です。
ただ、爪が伸びて尖っている状態の猫が上に乗ったら危ないとは思います。特にスエード調の生地は爪が引っかかりやすそうな質感です。床に敷きっぱなしにするということは、猫にとっては新しい寝床が出現したのと同じことなので、まず乗られると思っておいたほうがいい。
猫と暮らしていてインフレーターマットを室内で使うなら、爪切りは済ませておくことをおすすめします。
厚さ3cmと8cm、どう使い分けているか
2枚とも手元に残っているので、今は用途で分けています。
厚さ3cm(BAKKNEL)は、とにかく軽くて収納がコンパクトです。荷物を減らしたいときや、地面がもともと柔らかい場所ならこれで十分。連結ボタンが付いているので、同じものを買い足せば繋げられます。
厚さ8cm(ライシン)は、収納サイズも重量も相応に大きくなります。その代わり寝心地は別物です。車で行くキャンプや車中泊のように、荷物の重さをあまり気にしなくていい場面で活躍します。
厚みは寝心地に直結しますが、同時に持ち運びの負担にも直結します。どちらが良いかではなく、どう運ぶかで選ぶものだと今は思っています。
結局マットレスを買った。いつまで代用するかは先に決めておく
2ヶ月ほど使ったあと、僕は普通のマットレスを買いました。
僕が実際に試したのは「2ヶ月連続」という使い方だけなので、1週間ならどう、1ヶ月ならどうという体感を語ることはできません。言えるのは次の2つです。
- 2ヶ月続けると腰にくる。これは実際にそうなった
- 寝ること自体は普通にできた。厚さ8cmあれば床の硬さは感じない
その中間がどのあたりで線を越えるのかは人によると思いますが、腰に違和感を覚えた時点が買い替えどきだと考えておけば間違いないはずです。
引っ越しは何かとお金がかかるので、寝具の出費を先送りにしたい気持ちはよく分かります。ただ、睡眠は削ってはいけないコストだというのが2ヶ月やってみた感想です。
引っ越し費用そのものを抑える方法については、別記事で交渉術を書いています。
2枚とも、今は車中泊とキャンプで現役
自宅の寝床としての役目を終えたあとも、2枚とも捨てずに使っています。本来の用途である車中泊とキャンプです。
どちらも出かけるときに持っていく道具として、今も現役です。
結果的に、引っ越しのために買った8cmのマットが、そのままキャンプ道具として戦力になりました。使い道が2つある買い物だったと考えれば、悪くなかったと思っています。
今回使った2枚
参考までに、実際に使っている2枚を載せておきます。
ライシン インフレーターマット(厚さ8cm・幅70cm)
引っ越しの寝床として買い足したほう。スエード調の生地で肌触りが良く、厚みがあるので床の硬さを完全に消してくれます。自宅で使うならこちらの厚みは必要でした。
BAKKNEL インフレータブルマット30(厚さ3cm)
最初に買ったほう。軽くてコンパクトなので持ち運び重視の場面向き。自宅の寝床にするには薄いですが、キャンプ用としては今も現役です。
どちらも価格は変動するので、購入前に最新の情報を確認してください。
まとめ
引っ越しの寝床としてインフレーターマットを2ヶ月使った結論です。
- 寝ること自体は普通にできる。代用としては十分に成立する
- 厚さ3cmでは自宅の寝床には薄い。8cmあれば床の硬さは消える
- 「自動で膨らむ」は完全ではない。寝心地を出すには人力の空気入れが必要
- 2ヶ月続けると腰にくる。長期化するなら素直にマットレスを買うべき
- 猫がいる家は爪を切ってから。生地に穴が開いたら終わり
寝る場所がないという状況は思っている以上に不安なものですが、キャンプ道具が一つあるだけでとりあえず何とかなります。そのうえで、いつまで代用するかは決めておいたほうがいい、というのが2ヶ月やってみた僕の実感です。


















